
(番外編│特別編)【春日大社の神鹿伝説】神の使いとして崇められる奈良公園の野生鹿|御神木マニア特別編
🟤神鹿、見参!奈良の神使
奈良県の中心部に位置する春日大社。その境内と隣接する奈良公園には、約1300頭もの野生の鹿が自由に歩き回っている。これらの鹿たちは、単なる観光資源ではない。神の使いとして古来より崇敬され、今も人々に守られ続けている存在なのだ。
春日大社の創建は、奈良時代の神護景雲2(768)年。藤原氏の氏神を祀るため、常陸国の鹿島神宮から武甕槌命(たけみかづちのみこと)が招かれた。社伝によれば、その際、武甕槌命は白い鹿に乗って奈良の御蓋山に降臨したと伝えられており、以来、鹿は「神鹿(しんろく)」として神の使いとされてきた。
この神話的由来から、奈良の鹿たちは長年にわたり手厚く保護されてきた。江戸時代には鹿の角きり儀式が始まり、明治以降の保護活動を経て、昭和22年には「奈良のシカ」として国の天然記念物に指定。現在も「奈良の鹿愛護会」などの団体により、交通安全対策や保護管理が徹底されている。
春日大社の神鹿は、ただの観光動物ではない。神と人のあいだに立つ、静かな媒介者として、1400年以上にわたる歴史と信仰を象徴している。その姿は、現代人が忘れかけた自然への畏敬、神性への直感、そして地域文化への敬意を思い起こさせてくれる。
奈良を訪れたなら、ぜひ静かに鹿と向き合ってみてほしい。彼らのまなざしの奥に、太古の神々の記憶が宿っているかもしれない。
🟤ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania より
🟤ご紹介した神鹿の生息している場所

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