
【東京・文京区】奇跡の生命力「蛇の木」栄松院の椎〜戦禍を越えし御神木パワースポット〜
🟤惨禍を伝える被災樹木
推定樹齢750年【スダジイ】
榮松院(東京都文京区)
東京都文京区向丘、浄土宗の古刹、榮松院(えいしょういん)。
本堂裏手、墓地の通路を進むと、巨大なスダジイの御神木が姿を現します。
遠目には見事な樹形を誇り、勢いよく枝葉を広げているように見えますが、近づくとその衝撃的な姿に言葉を失うでしょう。
幹の半分以上は枯れており、痛々しい大きな空洞と焼け跡が、この木が歩んできた過酷な歴史を物語っています。
このスダジイは、1945年5月、上野一帯を狙った東京大空襲で焼夷弾の直撃を受けました。
火は一昼夜燃えつづけ、威容を誇っていた大きな幹は黒く焼けただれてしまい、完全に死に絶えたかのように思われました。
しかし、終戦から80年の歳月を経た今、新しい枝が力強く再生しているのです。
樹洞に大蛇が棲んでいたという伝説により、古くから「蛇の木」と呼ばれていたこのスダジイ。
傍らには、「天然記念物 榮松院ノ椎」と記された石柱標が残っています。
しかし現在は、国も都も区も、どこからも指定されていません。
歴史を紐解いてみると、大正13年(1924年)、樹高6丈5尺(約20m)、幹周3丈(約9m)、推定樹齢・650年の東京府最大のシイである、という記録が残っています。
大正15年に国指定天然記念物となりましたが、戦災のために指定解除。
昭和29年に東京都指定に振り替えられましたが、「戦災により損傷」との事由で、昭和33年に再び指定は解除されました。
空襲による傷跡を刻みながら、今なお力強く生きる榮松院のスダジイ。
戦災を経て奇跡的に再生したその姿は、東京の歴史の証人といえるものです。
奇跡の生命力を持つこの御神木の雄姿と秘められた物語を感じてください。
【所在地】
東京都文京区向丘2-35-7
千年山 栄松院
【アクセス】
・東京メトロ南北線「本駒込駅」徒歩約3分
・都営三田線「白山駅」より徒歩約6分
・東京メトロ千代田線「千駄木駅」徒歩約10分
🟤ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania より
🟤ご紹介した御神木(スダジイ)の木のある場所

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