×

【徳島・上板町】千年を生きる「乳イチョウ」乳保神社の奇跡の御神木〜安産・授乳のパワースポット〜

🟤奇跡の母なる樹

推定樹齢1000年【乳イチョウ】
乳保神社(徳島県上板町)

徳島県板野郡上板町に鎮座する乳保(にゅうほ)神社。その境内に、圧倒的な存在感を放つ巨木があります。それが、国指定天然記念物である「乳保神社のイチョウ」です。推定樹齢800年から1000年ともいわれるこのイチョウは、徳島県内で最長老の古木として知られ、高さ約28m、幹周り約17mにも達する堂々たる姿は圧巻の一言です。

このイチョウの最大の特徴は、樹幹や枝から無数の「乳房状の気根(こぶ)」が垂れ下がっていること。その姿がまるで人や動物の乳房が垂れ下がったように見えることから、古くから「乳イチョウ」の異名を持ち、乳保神社の名の由来にもなりました。そして、この「乳イチョウ」には、古くから乳を病む女性や産後の母乳の出が悪い女性がこの神社に祈願し、乳房状の気根の先に白紙を結んでおくと、病気平癒や授乳にご利益があると信じられてきました。遠近から多くの参詣者が訪れ、母性の象徴として篤い信仰を集めてきた、まさに「母なる樹」なのです。

乳保神社のイチョウは、長い樹齢の間に幾度となく試練に見舞われてきました。江戸時代の寛政年間(1789年~1801年)と昭和の初めには二度の落雷に遭い、主幹に大きな空洞が生じました。また、1807年(文化4年)と1872年(明治5年)には、付近で発生した火災により類焼の被害を受け、近年では2004年の台風でも幹の一部が折れるなど、たびたび自然災害に襲われてきました。しかし、そのたびに驚くべき生命力で樹勢を回復させ、今日まで威厳と風格を保ち続けています。幹の内部にできた空洞や、焼け焦げた跡は、この木が歩んできた壮絶な歴史の証であり、どんな困難にも屈しない強い生命力を象徴しています。

乳保神社のイチョウは雄株であるため、銀杏の実をつけることはありませんが、その存在自体がこの地域の歴史と人々の信仰の中心であり続けています。吉野川のほど近く、穏やかな平地に立つこの巨木は、古くからこの地の人々の生活と深く結びつき、安産や子育てを見守るパワースポットとして大切にされてきました。

千年の時を超え、幾多の受難を乗り越えてきた「乳保神社のイチョウ」。その雄大さと、生命の力強さ、そして母性溢れる神聖なエネルギーは、訪れる人々に深い感動と癒しを与えてくれるでしょう。ぜひ一度、この奇跡の御神木を訪れ、その神秘的な力を肌で感じてみてください。

所在地・アクセス情報

名称: 乳保神社のイチョウ
所在地: 徳島県板野郡上板町瀬部字西井内763
お問い合わせ: 上板町教育委員会 Tel:088-694-6814
アクセス:
JR徳島駅より徳島バス二条鴨島線「井ノ内」バス停下車、徒歩2分
徳島自動車道「藍住IC」または「土成IC」より車で約15分
JR「牛島駅」より車で約10分
備考: 11月下旬から12月上旬にかけて黄葉が見頃です。

<現地説明文>

国指定天然記念物
乳保神社のイチョウ
 1944(昭和)19年11月7日指定

このイチョウは、瘤(気根)が多く生じていて、乳房が垂れた形に似ている様子から、授乳の神木として古くより地域の人々に崇められています。
この木は雄株で、樹幹は根周り20m余り、幹周り17.23m、高さ約28mに達し、枝張りは、東西22m、南北30mです。
樹歴によりますと、寛政年間と昭和時代に落雷にあい、2004(平成16)年には台風6号により幹の一部が折れました。
このように、度重なる災害にあいながらも樹勢を回復し、現在に至っています。樹齢は800〜1,000年(推定)で、県下のイチョウの中で最長老の 巨樹として威厳と風格を保っています。

平成28年3月9日
 徳島県教育委員会・上板町教育委員会

🟤ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania より

🟤ご紹介した御神木(イチョウ)の木のある場所

Information

関連する書籍のご紹介

本のご紹介

日本の凄い神木: 全都道府県250柱のヌシとそれを守る人に会いに行く / 本田不二雄 (著)

単行本 – 2022/10/27

旅に新しい楽しみや見方を紹介する旅の図鑑シリーズ新刊。日本の全都道府県の、地元で信仰される神木や、歴史ある巨木を紹介。木の歴史や巨木が生まれる背景、人との生活との関わりなど、「木の旅」をテーマに、各地方の巨木・神木を240本以上紹介。また、木・人・旅に関するコラムなどの情報も充実。

(C)【歴史キング】×【御神木マニア】

ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania

鳥居を抜けて神社の境内に入ると、そこに御神木があった。 全国各地に鎮座する神社の数は、約88,000社以上と言われています。神社の数だけ「御神木」が存在するといっても過言ではないでしょう。 各地に鎮座する、神の宿る「御神木」、その中には、強烈なパワーを感じる樹木や、息を呑むような巨大な樹木が存在しています。 樹齢数百年から、古いものでは、千年、二千年という「御神木」も珍しくありません。 「御神木」には「御神木」となった理由があります。そんな「神の宿り木」となった「御神木」の数々をご紹介します。

PAGE TOP