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命を懸けて守られた御神木【徳島パワースポット】岡の宮の大クス

🟤村人たちが命がけで守った御神木

推定樹齢700年の御神木【クスノキ】
岡上神社(徳島県板野町)

徳島県板野町の岡上神社にそびえる「岡の宮の大クス」は、根元から三本に分かれた幹が一体となり、堂々たる樹冠を形づくる巨樹です。その威容は見る者の足を止め、心を静かにさせる力を持っています。推定樹齢は700年、最大幹囲は約6.7メートル、3本合わせた総幹囲は17.7メートルを超え、徳島県指定天然記念物にも登録されています。

この御神木には、江戸時代に実際に起きた伝説が残されています。藩の造船奉行から「軍船建造のために木材として供出せよ」と命じられた際、地元の氏子たちはこの木を「神鏡木」として守るべく命を懸けて抗議し、ついに伐採を免れました。その事実は、明和5年(1768年)建立の石碑に刻まれ、今も御神木のそばに静かに佇んでいます。

岡上神社の歴史は古く、延喜式神名帳にもその名が記されており、境内は四国八十八ヶ所巡礼の遍路道にも面しています。多くのお遍路さんがこの大クスに見上げられるように立ち寄り、木陰で一息ついては次なる霊場へと旅を続けていきます。近くには義経が戦勝を祈願したという伝承も残り、まさに祈りと歴史が交錯する聖なる空間です。

幹や枝には着生植物が根付き、まるで生命が重なり合うような力強い景観をつくり出しています。根元から立ち上がる幹はまるで一体の神獣のようでもあり、見る者に深い印象を残します。近年では背後に新興住宅地が広がる中、岡上神社とこの大クスは、今なお地域の精神的支柱としての役割を果たし続けています。

📍【所在地・アクセス】
岡上神社(岡の宮の大クス)
〒779-0101 徳島県板野郡板野町大寺字岡山路7
・JR高徳線「板野駅」から北西へ徒歩約15分(約1km)
・車:高松自動車道「板野IC」より西へ約2km
※専用駐車場はありません

<現地の説明文>
徳島県指定天然記念物岡の宮の大クス 所在地 徳島県板野郡板野町大寺字岡山路七 指定年月日 昭和四十八年(一九七三)八月二十一日

樹齢約七百年と推定されるクスの木です。樹木の高さは約三五メートル、枝の広がりは東西約二七メートル、南北約三七メートルとみられます。
根回りは約二五メートルと太く、一つの根から、幹が三つに分かれ、うち一つが二つに分かれて、四つの幹がせり合うように並立し、荘厳な雰囲気をかもしだしています。
大クスの北側に、江戸時代の昭和五年(一七六八)に建てられた石碑があります。

岡大明神御神鏡木 当村氏子中
郡御奉行 此楠明和五子二月御改往古ヨリ之運
安宅御目附 御立置奉願処御聞届之上印者也

船を造るから、大クスを差し出せとの命令がありましたが、御神鏡木だからと願い出たところ、許されたという記念碑です。
氏子たちが、命がけで護ってきたこの大クスは、今に受け継がれ、保護されています。

平成二十一年(二〇〇九)七月一日
 徳島県教育委員会
 板野町教育委員会

🟤ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania より

🟤ご紹介した御神木(大クス)のある場所

Information

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本のご紹介

日本の凄い神木: 全都道府県250柱のヌシとそれを守る人に会いに行く / 本田不二雄 (著)

単行本 – 2022/10/27

旅に新しい楽しみや見方を紹介する旅の図鑑シリーズ新刊。日本の全都道府県の、地元で信仰される神木や、歴史ある巨木を紹介。木の歴史や巨木が生まれる背景、人との生活との関わりなど、「木の旅」をテーマに、各地方の巨木・神木を240本以上紹介。また、木・人・旅に関するコラムなどの情報も充実。

(C)【歴史キング】×【御神木マニア】

ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania

鳥居を抜けて神社の境内に入ると、そこに御神木があった。 全国各地に鎮座する神社の数は、約88,000社以上と言われています。神社の数だけ「御神木」が存在するといっても過言ではないでしょう。 各地に鎮座する、神の宿る「御神木」、その中には、強烈なパワーを感じる樹木や、息を呑むような巨大な樹木が存在しています。 樹齢数百年から、古いものでは、千年、二千年という「御神木」も珍しくありません。 「御神木」には「御神木」となった理由があります。そんな「神の宿り木」となった「御神木」の数々をご紹介します。

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