
【岡山・津山】千年の時を刻む「祝木(いほぎ)のケヤキ」中山神社 謎多き神木の真実【パワースポット】
🟤神宿る千年のケヤキ
推定樹齢800年【ケヤキ】
美作国一ノ宮・中山神社(岡山県津山市)
岡山県津山市、古くから美作国一の宮として崇められてきた中山神社。その参道へと続く道の脇に、悠久の歴史を見守り続ける一本の巨木が鎮座しています。それが、津山市指定天然記念物である「中山神社祝木のケヤキ」です。推定樹齢800年を超えるこのケヤキは、幹周りが9メートル近くにも及ぶ堂々たる姿。地上5メートル付近から七つの太い枝に分かれ、内部はほとんどが空洞になっています。それでもなお、力強く枝葉を広げ、生命の神秘を感じさせてくれます。
このケヤキの最大の魅力は、その歴史が中山神社と深く結びついていることにあります。中山神社は慶雲4年(707年)の創建と伝えられる古社で、その社殿は天文2年(1533年)に尼子経久の兵火により一度焼失しました。しかし、このケヤキはなんと、その兵火以前からこの地に根を下ろしていたと言われています。幾多の戦乱や災害を乗り越え、今日まで生き延びてきた奇跡の樹木なのです。まさに、神社の歴史そのものを体現する「記念木」と呼ぶにふさわしい存在でしょう。
「祝木(いぼぎ)」という珍しい名称にも、このケヤキにまつわる深い伝承が秘められています。古くより、このケヤキの木の下で、中山神社の先住神である大己貴命(おおなむちのみこと)を祝い祭ったという伝説が残されています。中山神がこの地に鎮座する以前から、大己貴命がこの地を守護しており、後に国譲りを行い、この祝木の地に移り住んだとされています。ケヤキの足元にひっそりと祀られている「祝木社」の小祀は、その伝承を今に伝えるものです。
中山神社は、本殿が「中山造」と呼ばれるこの地方独特の形式で、国指定重要文化財に指定されています。荘厳な社殿と、それを包む歴史ある空間は、訪れる人々に静かな感動を与えます。このケヤキは、神社の入口に立つ番人のように、長きにわたりこの地を見守ってきました。その幹の大きな空洞や、枝が折れた跡など、これまでの過酷な環境を生き抜いてきた証が刻まれています。それでもなお、新たな芽を吹き、生命の営みを続ける姿は、私たちに深い畏敬の念を抱かせます。
千年の時を超えて、この場所に立ち続ける「中山神社祝木のケヤキ」。その雄大な姿は、古代から続く神話と歴史の重みを今に伝えています。生命の力強さ、そして悠久の時に思いを馳せながら、このパワースポットに身を置いてみませんか。きっと、ケヤキが紡いできた物語と、この地の神聖なエネルギーを感じ取ることができるでしょう。
所在地・アクセス情報
名称: 中山神社祝木のケヤキ
所在地: 岡山県津山市一宮695
アクセス:
【車】中国自動車道・津山ICから国道53号を西に約5.1km、「南新座」交差点を右折し、県道68号を約4.9km進むと神社の駐車場があります。
駐車場: 有
備考: 中山神社参道前の道路脇にあります。
<現地説明文>
名木百選
中山神社祝木のケヤキ
ケヤキ(二レ科)
津山市一宮
推定樹齢 八〇〇年
目通り周囲 八・五m
樹高一〇m
中山神社は、美作国の一の宮で天武天皇の慶雲四年の創建と伝えられる。
社殿は天文二年に尼子経久の兵火で焼失したが、永禄二年(一五五九年)に再建された。
本殿は、国指定の重要文化財である。
本樹は、尼子の兵火以前のもので、神社と歴史を共にした記念木である。正面の小祀には「大国主命」が祀つられている。
🟤ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania より
🟤ご紹介した御神木(ケヤキ)の木のある場所

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