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【東京・渋谷区】戦禍を生き抜いた「鳩森八幡神社のイチョウ」〜都心に宿る白鳩の神威〜【御神木パワースポット】

🟤奇跡の都心巨樹

推定樹齢不明【イチョウ】
鳩森八幡神社(東京都渋谷区)

東京・渋谷区千駄ヶ谷、都心の喧騒の中に、静謐な神域を保つ鳩森八幡神社(はとのもりはちまんじんじゃ)。応神天皇と神功皇后の二柱を御祭神とするこの神社は、貞観2年(860年)に慈覚大師円仁によって創建されたと伝わる、1200年以上の歴史を刻む古社です。

その歴史は、不思議な瑞祥から始まりました。大昔、この地の深い森には度々瑞雲(めでたいことの前兆の雲)が現れました。ある日、青空から雲が降りてきたかと思うと、突然たくさんの白い鳩が西に向かって飛び去っていきました。この神秘的な現象に感動した村民が祠を建て、「鳩森」と名付けたのが神社の起源とされています。慈覚大師円仁がこの地を訪れた際、村民の願いにより、この森の伝説にちなんで神功皇后と応神天皇のご尊像が作られ、正八幡宮として崇め奉られたのです。

この鳩森八幡神社の境内には、幾多の歴史の荒波を乗り越えてきた御神木のイチョウがそびえ立っています。樹齢に関する明確な記載はないものの、その堂々たる姿は長きにわたりこの地を見守ってきた証です。特に注目すべきは、昭和20年(1945年)5月の東京大空襲を生き抜いたという壮絶な歴史です。広範囲に及んだ戦火により、鳩森八幡神社の境内も焼け野原となりました。しかし、火に強いイチョウの木は、焼夷弾の猛火に晒されながらも奇跡的に枯死を免れたのです。戦後70年以上が経過した現在、その幹には焼け跡の後遺症は見えず、再び緑豊かな葉を茂らせています。その姿は、都心の再生と、どんな困難にも屈しない生命の力強さを象徴しているかのようです。

都心にありながら、古の森の面影を残すこの神聖な場所は、向かいに建つ将棋会館に出入りする棋士たち、特に藤井聡太氏をはじめとする将棋界の殿堂に隣接する守護神として、また地元の人々からも篤い崇敬を集めています。境内には本社の他に末社が三つあり、能楽殿、そして富士浅間神社の御祭神・木花咲耶姫命を祀る富士塚も築かれています。毎年6月30日の夏越の大祓(なごしのおおはらえ)と12月30日の年越の大祓では、無病息災を祈念する茅の輪が設置され、人々は心身を清めます。

戦火を免れ、今も力強く息吹く御神木のイチョウは、まさに奇跡の生命力を宿す存在です。白い鳩の霊瑞から始まったこの地の信仰、そして歴史の苦難を乗り越えてきた御神木の姿は、訪れる人々に希望と安らぎを与えてくれるでしょう。ぜひ一度、このパワースポットを訪れ、都心にありながら悠久の時を刻む神聖な空間と、御神木が放つ神秘の力を肌で感じてみてください。

所在地・アクセス情報

名称: 鳩森八幡神社(はとのもりはちまんじんじゃ)
所在地: 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷1-1-24
電話番号: 03-3401-1284
対応時間: 9:00~17:00
アクセス:
JR総武線「千駄ヶ谷駅」下車 徒歩5分
都営大江戸線「国立競技場駅」下車 徒歩5分
東京メトロ副都心線「北参道駅」下車 徒歩5分

🟤ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania より

🟤ご紹介した巨樹(イチョウ)のある場所

Information

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日本の凄い神木: 全都道府県250柱のヌシとそれを守る人に会いに行く / 本田不二雄 (著)

単行本 – 2022/10/27

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(C)【歴史キング】×【御神木マニア】

ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania

鳥居を抜けて神社の境内に入ると、そこに御神木があった。 全国各地に鎮座する神社の数は、約88,000社以上と言われています。神社の数だけ「御神木」が存在するといっても過言ではないでしょう。 各地に鎮座する、神の宿る「御神木」、その中には、強烈なパワーを感じる樹木や、息を呑むような巨大な樹木が存在しています。 樹齢数百年から、古いものでは、千年、二千年という「御神木」も珍しくありません。 「御神木」には「御神木」となった理由があります。そんな「神の宿り木」となった「御神木」の数々をご紹介します。

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