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【東京・浅草】不思議な力を宿す浅草の隠れた守り神

🟤雷門を見守る御神木

推定樹齢不明【エンジュ】
浅草神社(東京都台東区)

世界的に有名な浅草寺の隣に位置する浅草神社。明治の神仏分離令により浅草寺と分離され、浅草郷の総鎮守として現在の「浅草神社」となりました。その主祭神は、浅草寺の創建に深く関わった檜前浜成・武成兄弟と土師真中知の三人。これら三人を祀ることから「三社様」と呼ばれ、地域の人々の篤い信仰を集めているのが浅草神社です。

始まりは、推古天皇の時代に遡ります。推古36年(628年)のある春の日のこと。檜前兄弟が隅田川で漁をしていた際、不思議な像が網にかかりました。土師真中知に尋ねたところ、像は聖観世音菩薩であると告げられ、兄弟が祈願すると翌日から大漁に恵まれたといいます。その際、兄弟が観音像を槐(えんじゅ)の木の切り株に安置したことから、浅草神社の御神木として槐が祀られるようになりました。浅草神社の槐は、たとえ枯れて倒れたとしても、必ず次の木が自生する非常に縁起の良い木と言われています。古来より、「木」と「鬼」という字を持つ槐には、魔除けや邪気払いの力があると信じられてきました。また、「延寿(えんじゅ)」に通じる語呂合わせから、長寿や安産、子孫繁栄にご利益があると信じられています。

浅草神社の本殿は、慶安2年(1649年)に徳川三代将軍・家光公の寄付により建立されました。
江戸の大火、関東大震災、東京大空襲といった幾多の災禍を奇跡的に免れ、当時の漆塗りや鮮やかな色彩を今に伝えてる浅草神社。浅草の地が信仰と文化の中心として栄えると共に、地域に根ざすこの槐の木もまた、長く人々に愛され続けている御神木なのです。

所在地・アクセス情報
名称:浅草神社の槐
所在地:東京都台東区浅草2-3-1
アクセス:
地下鉄/東京メトロ銀座線浅草駅(徒歩7分)
地下鉄/都営地下鉄浅草線浅草駅(徒歩7分)
東武線浅草駅(徒歩7分)
つくばエクスプレス浅草駅(徒歩10分)

<現地説明文>
神木「槐」の木の由来

槐は中国原産のマメ科の落葉喬木で、葉は藤に似て、夏、黄白色の花をつけ、高さ十メートルに及ぶ。古来中国では宮廷の庭に三本の槐を植え三公のつく位置を示したといわれる通り、高貴の木として珍重された樹木である。
浅草寺のご本尊の聖観音菩薩は推古天皇三十六年(六二八年)三月十八日、隅田川で漁をしていた檜前浜成(ひのくまはまなり)・竹成(たけなり)の二兄弟によって網得され川辺の槐の木の切株に安置されたが、その主、土師仲知(はじなかとも)の教導により、三人共々深く観世音に帰依し、草堂を結び自邸を寺にかえたのが浅草寺の始まりと伝えられている。
その後この三人が浅草観音示現の功労者として、三社権現の尊称を奉られ、神として祭祀されたが、これが当浅草神社であるから、槐は浅草寺にとっても当社にとっても非常に因縁の深い木である。
その故か、当境内には槐の木が自生し、枯れては生え、枯れては生え、連綿として絶える事がない。まことに不思議な縁を感じさせる木である。
  昭和六十二年九月  浅草神社奉賛会 浅草観光連盟

🟤ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania より

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日本の凄い神木: 全都道府県250柱のヌシとそれを守る人に会いに行く / 本田不二雄 (著)

単行本 – 2022/10/27

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(C)【歴史キング】×【御神木マニア】

ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania

鳥居を抜けて神社の境内に入ると、そこに御神木があった。 全国各地に鎮座する神社の数は、約88,000社以上と言われています。神社の数だけ「御神木」が存在するといっても過言ではないでしょう。 各地に鎮座する、神の宿る「御神木」、その中には、強烈なパワーを感じる樹木や、息を呑むような巨大な樹木が存在しています。 樹齢数百年から、古いものでは、千年、二千年という「御神木」も珍しくありません。 「御神木」には「御神木」となった理由があります。そんな「神の宿り木」となった「御神木」の数々をご紹介します。

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