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【東京・台東区】吉原遊女の悲劇の池にそびえるイチョウ【大河・べらぼうゆかりの地】

🟤大河べらぼうゆかりの地│遊女の霊を弔う│吉原弁財天本宮

推定樹齢不明【イチョウ】
吉原弁財天本宮(東京都台東区)

東京・台東区。遊郭文化の記憶が今なお色濃く残るこの地に、静かにたたずむ一本のイチョウの巨木があります。かつてこの場所には「吉原花園池(弁天池)」と呼ばれる池がありました。江戸時代、新吉原遊廓の造成とともに池の一部が残され、そのほとりに吉原弁財天が祀られたのです。吉原弁財天本宮(よしわらべんざいてんもとみや)は、吉原の楼主たちから深い信仰を集め、弁財天は【芸事の神】として遊女たちの心の支えでもありました。現在は吉原神社に合祀され【境外末社】という位置づけですが、ここには本宮の祠が今も静かに残されています。そして、この場所には、もうひとつの大きな歴史が刻まれています。

1923年(大正12年)、関東大震災。

吉原遊廓を襲った炎から逃れようと、多くの人々が弁天池に殺到しました。そして、この池で490名もの命が失われたのです。その悲劇を悼み、境内には自愛に満ちた表情の観音像が建立されました。現在も、苔むした石仏や地蔵、そしてイチョウの御神木が、静かに祈りと記憶を守っています。NHK大河ドラマ『べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~』では、吉原の世界や文化が色濃く描かれています。そんな時代の記憶を、いまもこの御神木が見届けているのかもしれません。ここは時間が止まったような静寂があります。この地を訪れる際は、この御神木とともに、失われた命への祈りをそっと捧げてください。

所在地・アクセス情報
所在地:東京都台東区千束3-20-2
アクセス:東京メトロ日比谷線「三ノ輪駅」または「入谷駅」より徒歩約15分。
つくばエクスプレス「浅草駅」より徒歩約15分。

<現地説明文>
新吉原花園池(弁天池)跡

江戸時代初期までこの付近は湿地帯で、多くの池が点在していたが、明暦三年(一六五七)の大火後、幕府の命により、湿地の一部を埋立て、日本橋の吉原遊郭が移された。以来、昭和三三年までの三〇〇年間に及ぶ遊郭街新吉原の歴史が始まり、とくに江戸時代にはさまざまな風俗・文化の源泉となった。
遊郭造成の際、池の一部は残り、いつしか池畔に弁天祠が祀られ、遊郭楼主たちの信仰をあつめたが、現在は浅草七福神の一社として、毎年正月に多くの参拝者が訪れている。池は、花園池・弁天池の名で呼ばれたが、大正一二年の関東大震災では多くの人々がこの池に逃れ、四九〇人が溺死したという悲劇が起こった。弁天祠付近の築山に建つ大きな観音像は、溺死した人々の供養のため大正一五年に造立されたものである。昭和三四年吉原電話局(現在の吉原ビル)の建設に伴う埋立工事のため、池はわずかにその名残を留めるのみとなった。

平成十年三月
台東区教育委員会

🟤ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania より

🟤ご紹介したイチョウのある場所

Information

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本のご紹介

日本の凄い神木: 全都道府県250柱のヌシとそれを守る人に会いに行く / 本田不二雄 (著)

単行本 – 2022/10/27

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(C)【歴史キング】×【御神木マニア】

ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania

鳥居を抜けて神社の境内に入ると、そこに御神木があった。 全国各地に鎮座する神社の数は、約88,000社以上と言われています。神社の数だけ「御神木」が存在するといっても過言ではないでしょう。 各地に鎮座する、神の宿る「御神木」、その中には、強烈なパワーを感じる樹木や、息を呑むような巨大な樹木が存在しています。 樹齢数百年から、古いものでは、千年、二千年という「御神木」も珍しくありません。 「御神木」には「御神木」となった理由があります。そんな「神の宿り木」となった「御神木」の数々をご紹介します。

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