×

【岡山・笠岡市】旅人を見守る「井立のネズの木」〜風邪の神様が宿る街道の御神木

🟤街道の守り神│三百年の巨木│井立のネズの木

推定樹齢300年
【井立のネズの木】(岡山県笠岡市)

岡山県笠岡市、井立池(いだちいけ)のほとりに、推定樹齢300年を超えるネズの木が静かに立っています。この地域では「モロギ」とも呼ばれるこの木は、笠岡市指定の天然記念物であり、県下でも三本の指に入るほどの巨木として知られています。このネズの木が立つ場所は、かつて走出から井原へと通じる古い街道でした。旅人たちがこの大きな木陰で一息つき、旅の安全を願ったことでしょう。木の根元には、悪病や災厄が村に入り込むのを防ぐとされる塞の神(さいのかみ)の祠が祀られており、街道と集落を守る御神木として、古くから人々の信仰を集めてきました。また、このネズの木には、手を合わせると咳が止まる、風邪の神様が宿るという言い伝えが残されています。古くから、病気平癒や健康を願う人々が、この御神木に祈りを捧げてきた歴史がうかがえます。ヒノキ科の針葉樹であるネズの木は、葉の先端が鋭く尖っていることから「ネズミサシ」とも呼ばれ、堅く香気があるため杭などにも使われてきました。しかし、この井立のネズの木は、何百年もの間、一本の木としてそこに立ち続け、今もなお旺盛な樹勢を誇っています。街道を見守る塞の神の祠と、それに寄り添うように立つネズの巨木。この特別な場所で、300年の時を刻んだ御神木が放つ壮大な神威と、旅人の安全と健康を願う人々の想いを肌で感じてみませんか。

所在地・アクセス情報
所在地:岡山県笠岡市走出字池平
アクセス:車:山陽自動車道「笠岡IC」から約15分。JR山陽本線「笠岡駅」からバス

<現地説明文>
市指定 天然記念物
井立(いだち)のネズの木

ネズの木としては市内最大のものであり、県下でも三指に入る巨木に数えられています。
◯ヒノキ科の針葉樹
◯根本周囲 四、一メートル
◯目通り周囲  二、九メートル
◯推定樹齢約三〇〇年

木の根元には「塞の神」の祠があり、神木として祠とともに昔から信仰されています。

平成二年二月二十六日 指定
笠岡市教育委員会

🟤ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania より

🟤ご紹介した御神木(ネズ)のある場所

Information

関連する書籍のご紹介

本のご紹介

日本の凄い神木: 全都道府県250柱のヌシとそれを守る人に会いに行く / 本田不二雄 (著)

単行本 – 2022/10/27

旅に新しい楽しみや見方を紹介する旅の図鑑シリーズ新刊。日本の全都道府県の、地元で信仰される神木や、歴史ある巨木を紹介。木の歴史や巨木が生まれる背景、人との生活との関わりなど、「木の旅」をテーマに、各地方の巨木・神木を240本以上紹介。また、木・人・旅に関するコラムなどの情報も充実。

(C)【歴史キング】×【御神木マニア】

ユーチューブちゃんねる{御神木マニア}@goshinbokumania

鳥居を抜けて神社の境内に入ると、そこに御神木があった。 全国各地に鎮座する神社の数は、約88,000社以上と言われています。神社の数だけ「御神木」が存在するといっても過言ではないでしょう。 各地に鎮座する、神の宿る「御神木」、その中には、強烈なパワーを感じる樹木や、息を呑むような巨大な樹木が存在しています。 樹齢数百年から、古いものでは、千年、二千年という「御神木」も珍しくありません。 「御神木」には「御神木」となった理由があります。そんな「神の宿り木」となった「御神木」の数々をご紹介します。

PAGE TOP